英英辞典10冊をベースに、"out of" の意味を分類してみました。
目次
- "out of" の意味
- "out of~" の頻出表現
- "out of" の文中での役割
- 関連コンテンツ(別ページ)
1. "out of" の意味
1.1.《移動》の "out of"
"out of" の最も分かりやすい意味は《移動》です。
1.1.1. 基本的な用例
まず例文を見てみましょう。 4つあります。
主語が移動
部屋の中から外へ移動しました。
主語以外が移動
次の文では、移動するのは食べ物です。 何かの食べ物が潜在的な目的語ですが、文には現れていません。形容詞句として
次の文では、"out of" から後の部分が名詞である "way" を修飾しています。 どのような "way" かを "out of" 以下で説明しているわけです。比喩的な移動
次の文で "out of" は比喩的な《移動》の意味です。1.1.2.《移動》の "out of" の意味の成り立ち
あくまでも私の見解ですが、"out" が「外側に」を意味する副詞で、前置詞 "of" は「~から」の意味でしょう。前置詞 "of" が「移動の過程」を示し、"out" が「移動先」を示すイメージです。
「~から(of)外側に(out)」で「~の外へ」。
1.1.3. 視線や声の《移動》
次の2つの文も《移動》の一種とみなせそうです。 主語となる人物が声や視線を部屋の中から窓の外へ移動させると考えるわけです。
視線の移動
声の移動
1.2.《範囲外》の "out of"
「何かの範囲の外」を意味する "out of" です。 空間的な意味にも比喩的な意味にも用いられます。
1.2.1. 基本的な用例
空間的な意味の例①
空間的な意味の例②
比喩的な意味の例①
比喩的な意味の例②
1.2.2.《範囲外》の "out of" の意味の成り立ち
"out" は「外側」を意味する名詞で、前置詞 "of" は「~の」の意味だと考えられます。
"out of~"(1)は名詞句で、逐語訳は「~の外側」です。 それが「~の外側に」という副詞の意味になるのは、名詞句 "out of~" が副詞句と見なされる(2)からです。(1)「"out of~" が名詞句」とは、「"out of" + "~"」が1つの名詞と同じ役割を果たすということ。
(2) 副詞句は、基本的には "in the room" のように「前置詞+名詞」という形を取ります。
ゆえに、「~の外側」の意味でしかない "out of~" 「~の外側に」という意味を持たせるのは、"in" が欠ける "the room" だけを「その部屋に」の意味に捉えるのと同様におかしなことです。
ですが英語では慣用的に、前置詞を備えない名詞句が副詞句として機能することがあります。 例えば "next month"。 "next month" は「来月に」を意味する副詞句として使うときも前置詞 "in" が用いられないのが普通です。ですが、こうした説明は、現実の英語に文法的な解釈を当てはめたに過ぎません。 実際には、「《移動》の "out of"」と「《範囲外》の "out of"」の違いは動詞の性質の違いでしかありません。
例えば、先述の例文。すると、変更後の "out of" は《移動》の意味に分類されます。 動詞 "go" がb>変化(営業 → 営業停止)を意味するからです。
1.3.《全体の一部》の "out of"
「~のうちで/~のうちの」と訳します。 「《移動》の "out of"」の一種とみなせます。1.3.1. 基本的な用例
1.3.2.「数字 out of 数字」
《全体の一部》を意味する "out of" は、"out of" の前後に数字しかないケースも少なくありません。1.4. 《素材・材料》の "out of"
この意味の "out of" は "made out of" の形で使われることが多いでしょう。
"made out of" は、"made of" と同じ「(何かの素材やパーツで)できている、作られている」という意味のほか、「(意外なモノで)できている、作られている」と言いたいときにも用いられます。
~で出来ている
(珍しい材料で)出来ている
1.5.《原因・動機》の "out of"
《原因・動機》を意味する "out of" は「~ゆえに」や「~から」などと訳します。1.6.《動物の親》の "out of"
「子 out of 親」という使い方で、「親から生まれた子」という意味です。1.7.《拠点》の "out of"
「~を拠点(本部)として」や「~から」などと訳せば良いと思います。# アミーが在宅でビジネスを行っているわけです。 「120万ドルのビジネス」は「年に120万ドルを稼ぐ」という意味でしょうか。
"$1.2M" の "M" は、「100万」を意味する "million" の略。# "Tesla to operate..." という書き方なのは新聞記事の見出しだからです。 サン・バーナーディーノは米国カリフォルニア州の地名。
"operate" は動詞で「操作する、運営する、創業する」などの意味。1.8.《喪失》の "out of"
「~が切れて、底を突いて」などと訳します。1.8.1. 基本的な用例
1.8.2.《喪失》の "out of" の意味の成り立ち
《喪失》を意味する "out of" はここまでに見てきた "out of" と違って、"out" が「外」という意味ではありません。 "out" を「外」の意味に捉えると、例えば、"out of sugar" をどう解釈しようと「砂糖が尽きた」の意味にならないのです。
私見ですが、《喪失》を意味する "out of" で "out" と "of" は次の意味だと思います:
- out ・・・「欠如した、不足した、前はあったものが無くなった」という意味(形容詞)
- of ・・・「~に関して」という意味
例えば "out of sugar" なら、「砂糖に関して、それまであった備蓄が無くなった」で「砂糖が尽きた」です。
1.8.3.《喪失》の "out of" の他の例
out of breath
激しい運動などの後で呼吸がままならない状態を「息が切れた」と言います。
この「息が切れた」は英語で "out of breath" です。 例えば次のように使います。この "out of breath" の "out of" も《喪失》の意味と考えられます。 「呼吸に関して(of breath)、それまで足りていたのが欠乏している(out)」わけです。
cheat... out of~
"cheat... out of~" は「騙し取る」という意味ですが、この "out of" も《喪失》の意味に理解すると筋が通ります。"He cheated me out of a dollar." は一見すると第3文型です。 この場合の解釈は次のようなもの:
"He cheated me" でSVOの第三文型。 "out of a dollar." は前置詞句なので文型の要素としてカウントしない。
この構造の捉え方は、"She shot him dead.(彼女は彼を撃ち殺した)" なんかと同じです。 "She shot him dead." も第5文型で、「彼女が彼を銃か何かで撃って、him = dead の状態にした」という意味です。
第5文型(SVOC)は「O=C」という関係が特徴です(Oが目的語、Cは補語)。1.9.《偶然》の "out of"
"eat out" は慣用句で「外で食べる、外食する」という意味です。
"of late" も慣用句で「最近、近頃」の意味です。
よって、上記の例文は "eat out" と "of late" で区切られます。
したがって、この例文の "out" と "of" は、たまたま隣り合っただけです。
2. "out of~" の頻出表現
2.1. take... out of~
2.1.1. 基本的な意味
"take" の基本的な意味が「取る」なので、"take... out of~" の基本的な意味は「~から ...を取り出す」です。「...を~から取り除く、連れ出す」という意味にも使われます。連れ出す
取り除く
2.1.2. "take... out of ...self"
"take... out of ...self" の2箇所の「...」には同一人物が入ります。 例えば、"take me out of myself"。
言葉通りに訳すと「...から ...自身を連れ出す」ですが、"take... out of ...self" は熟語で「気分転換する、リフレッシュする、悩み事を忘れる」という意味です。字義通りの意味のことも
"take... out of ...self" はしかし、上述の熟語の意味以外にも使われます。 例えば次の文。2.2. go out of~
2.2.1. 基本的な意味
"go out of~" は基本的には「~の(内から)外へ出て行く」という意味です。2.2.2. 慣用句の一部
"go out of~" は比喩的な意味で多くの慣用句に用いられます:
- go out of ones's way(to~)・・・わざわざ(~を)する、(~を)頑張る、他人のために骨を折る
- go out of production・・・生産されなくなる、生産中止になる
- go out of use・・・使われなくなる
- go out of one's mind・・・正気を失う、気が狂う
- go out of existence・・・存在しなくなる、消滅する
- go out of business・・・廃業する、営業しなくなる
2.3. get... out of~
2.3.1. 基本的な意味
基本的な意味は「...を~から取る」です。
「...」や「~」の部分が人かモノかで意味が異なります。 例えば次のようなもの:
- 「...」がモノで「~」が人 → ~から...を得る、奪う、取る
- 「...」が人で「~」がモノか場所 → ~から...を連れ出す、救出する
- 「...」も「~」もモノ → ~から...を得る、取り除く、取り出す
ですが、1つ1つを暗記する必要はありません。 「...を~から取る」という基本的な意味を知っていれば、文脈から意味が分かります。
get モノ out of 人①
get モノ out of 人②
get 人 out of 場所
get モノ out of モノ
# 直訳: 我々はこの取引からたくさんの金銭を得るだろう。
"deal" は意味が色々あるが、ここでは「取引」の意味。2.3.2. get the most out of~
「~から...を得る」を意味する "get... out of~" の「...」の部分に "the most" が入った慣用句です。
この "most" は名詞で、「最大のモノ」という感じの意味です。
"get the most out of~" の使われ方は次の2つ:
- (「~」が人の場合)~の能力を最大限に活用する
- (「~」がモノの場合)~から可能な限りの利益を得る
2.3.3 get oneself out of
「~から出る」という意味です。2.4. get out of~
2.4.1. 意味
たくさん意味があります:
- ~から出る
- (道などの場所)から退く/どく/のく
- ~から退散する
- (義務や苦労や面倒事を)何とかして免れる
- 習慣をやめる
- (良好な状態から)転落する・脱落する
上記意外にも意味があります。 でも、大体はなんとなく意味が分かることでしょう。
2.4.2. 成り立ち
"get out of~" の成り立ちは次の2つが考えられます:
- "get oneself out of~" の "oneself" が省略されたと見られるもの。
- 「~の外(out of~) という状態を得る(get)」という意味と思われるもの。
2.5. grow out of
"grow" は「育つ」という意味。「育った結果なにかの内から外へ移動する」が "grow out of" の基本的な意味です。
2.5.1. 意味
"grow out of" は熟語で、次の5つの意味があります:
- 植物などが成長して植木鉢などからハミ出る
- 子供が成長して、小さい頃の衣類や自転車などが身に合わなくなる
- 精神的に成長するなどして、それまでの(未熟な)習慣や考えなどを脱する
- 既存の何かから別の何かが生まれる
- 既存の問題が大きくなる
2.5.2. 例文
植物の成長
子供の成長
習慣などを脱する
既存のモノから何かが
問題が大きくなる
3. "out of" の文中での役割
"out of" だけだと前置詞句です。 "out" と "of" という2語で、"in" や "on" などの前置詞と同じような役割を果たします。
ですが、"out of" とその後に続く語句を合わせた全体(例. "out of the room")は、その全体で1つの形容詞や副詞と同じ働きをします。
ゆえに、例えば "out of the room" のように "out of" に導かれる語群は形容詞句または副詞句です。複数の言葉が集まって文中で1つの役割を果たすものが「句」です。(「主語+動詞」を含んでいれば「節」)
形容詞句や副詞句を形成するのは "out of" に限りません。 あらゆる前置詞は形容詞句や副詞句を形成します。 例えば、"with you" も形容詞句または副詞句です。 「あなたと(行く)」なら副詞句ですし、「あなたとの(ひととき)」なら形容詞句です。