1. 意味
"what it takes" は「必要なもの、求められるもの」という意味です。
以下では、"what it takes" を構成する単語の意味を説明したうえで、全体像を見ていきます。
2. 単語の意味
what
"what it takes" の "what" の訳し方は「~なもの」です。
この "what" は「疑問詞(なに?)」ではなく「(先行詞を含有するタイプの)関係代名詞」です。it
"what it takes" の "it" は、形式主語です。takes
"what it takes" の "take" の意味は「必要とする、要求する」。3. 全体の解説
ここまでの説明を踏まえて "what it takes" を逐語訳すると、「(主語が)要求するもの」です。
それを自然な日本語にしたのが、冒頭に記載した「必要なもの」です。
具体例
直訳: 私は生きることが要求するものを持っている。
意訳: 私は生きるうえで必要なものを持っている。"it" が形式主語で、実際の主語は "to live" です。
この "to live" は不定詞の名詞的用法で「生きること」と訳されます。
名詞として働くから「名詞的用法」
名詞的用法の不定詞では「to + 動詞」が名詞と同じ働きをします。 名詞は文において主語や目的語として働くので、不定詞の名詞的用法も主語や目的語として働きます。 "what it takes to live" では、名詞的用法である "to live" が主語として働きます。
形式主語を元に戻すと?
形式主語をやめると、"I have what to live takes." です。
"take" の意味が「必要とする」なので、"to live takes" で「生きることは必要とする」です。これに "what" を加えた "what to live takes" の和訳は「生きることが必要とするモノ」です。
"what to live takes" を言い換えると "things that to live takes"。
"things that to live takes" は "things that I need" のようなもの。
"things that I need" の意味は「私が必要とする物ども」。 それと同じ感覚で、"things that to live takes" は「生きることが要求する物ども」。 "I" に相当するのが "to live" で、"need" に相当するのが "takes"。4. 中身の省略
"what it takes" の "it" は形式主語ですから、先述の例文 "I have what it takes to live." のように "it" の中身(to live)が必要です。
ですが、その中身が不在であることがあります。 例えば次の文。"takes" の後ろに本来続くべき "it" の中身("to~")がありません。 日本語の「~することが(~するうえで)」に相当する部分が欠如しています。
省略前の姿
上記の文は本来は、例えば次のような文です。このセリフを言う側と言われる側の間で「何に必要とされるものか?」に関して暗黙の了解があるために、"to survive in this business" が省略されて "You have what it takes." になります。
5. 中身抜きで定着
上述の省略から一歩進んで、次のように慣用的な言い回しでは、もはや形式主語の中身は置き去りにされ、発言者も聞き手も "it" の中身を意識することなく "what it takes" が使われます。# "If that's what it takes, I'd do anything." なら「それが必要だというなら、ボクはなんだってやってやるさ」。
こうした言い回しではもはや、"it" は形式主語であることも忘れられているでしょう。