"without you" の意味は? 大きく分けて3つです。

質問:"without you"(ウィズアウト ユー)とは、どういう意味ですか?

回答: "without you" の訳し方は色々ですが、意味的に次の3つに分類されます:

  1. あなた(たち)無しで
  2. (今後)あなた(たち)がいなければ(いなくても)
  3. (仮に)あなた(たち)がいなければ(いなくても)

詳しくは以下を御覧ください。

このページの以下で「あなた」は「あなたたち」の意味も含むこととします。 このページに登場する "you" がいずれも「あなた」と「あなたたち」の意味に解釈可能で、「あなた」と「あなたたち」を逐一(ちくいち)併記(へいき)すると読みづらいからです。

1. 単語の意味

  • without ・・・「~なしで(は)」を意味する前置詞
  • you ・・・「あなた、あなたたち」を意味する代名詞

2. ポピュラーな表現

"without you" が用いられるポピュラーな表現の意味は次の通り。
I can't live without you.
あなた無しでは生きていけない。
Nothing without you.
キミがいなけりゃ何にもならない。
# あなたいなけりゃ(生きている)意味がない。
No song without you.
あなたがいなければ(いなかったなら)歌は存在しない(しなかっただろう)。

# "No song without you." は完全な文章が省略されたフレーズです。

省略される前の文として考えられる代表例は "There would be no song without you." または "There will be no song without you."(違いは "would" か "will" か)。

前者であれば「あなたがいなかったなら、歌は存在しなかっただろう」ですし、後者なら「あなたがいなければ、歌は存在しない」です。
What would I do without you?
あなた無しで、私はどうすればいいの?
# 仮定法の文です。 仮定法については後述。
movin' on without you
あなた無しで前へ進む

# "move on" は「辛かった出来事を乗り越えて前へ進む」という感じの意味。

"movin'" は "moving" を実際の発音に忠実に表記した言葉。

"movin' on" は動名詞かもしれませんし現在分詞かもしれません。 動名詞なら「あなたなしで前へ進むこと」と訳しますが、現在分詞なら文脈により訳し方が異なります。 歌の歌詞なら「辛かった出来事を乗り越えて前へ進むんだ」ぐらいでしょうか。

3. 三通りの解釈

3.1. あなた無しで

この意味の "without you" は、"without" と "you" の意味を単純に足し合わせただけです。
We went to eat without you.
私たちはあなた無しで食事に行った。
# あなた抜きで食事に行きました。

3.2.(今後)あなたがいなければ(いなくても)

この意味の "without you" は「もしも~」を意味する "if~" に置き換えることが可能です。
I can't live without you.
あなたがいなければ、私は生きていけない。

"if" を用いて書き換えると

上の文 の "without you" を "if" を用いて書き換えると、"I can't live if I don't have you." などです。

仮定法ではない

"if" と聞いて思い浮かぶのは仮定法ですが、この文は仮定法ではありません。 単なる条件文です。

次項で述べるのが仮定法です。

3.3. 仮にあなたがいなければ(いなくても)

I couldn't live without you.
(仮に)あなたがいなければ、私は生きていけない。
もしもの話なんだけど、あなたがいなかったら、私は生きていけない。

こちらの文が仮定法(*) です。 可能性がゼロのあるいは相当に低い事柄について「仮に~」と仮定して述べるからです。

(*) 学校の英語では「仮定法過去」として習います。 用いられる動詞が過去形だから「仮定法過去」と呼ばれます。

"if" を用いて書き換えると

この文の "without you" を "if" を用いて書き換えると、"I couldn't live if I didn't have you." などです。

英語の教科書に出て来る慣用句 "if it were not for" を用いるなら、"I couldn't live if it were not for you."。

4. 条件文と仮定法の比較

"wihtout you" から話が逸れますが、条件文(上記 3.2.)と仮定法(上記 3.3.)の違いについて説明しておきましょう。

仮定法の文

まず、先ほどと同じ仮定法の文をもう1度。
I couldn't live without you.
仮に)あなたがいなければ、私は生きていけない。

この仮定法の文で「私」は、「今後もあなたがずっと一緒」と考えています。「私」は「あなた」が「私」のもとからいなくなる可能性を現実的なものとして考えていません。

条件文

次に、さっきも出した単なる条件文。
I can't live without you.
あなたがいなければ(いなくなることがあれば)、私は生きていけない。
この条件文で「私」は、この先「あなた」が居なくなるか居なくならないか未定だと認識しています(*)。 ずっと一緒かもしれませんし、袂(たもと)を分かつ可能性もあります。
(*) 実際には確定している(例えば「あなた」が「私」と別れる決意を密かに固めている)かもしれないが、発話者の認識では未定。

「条件文と仮定法の比較」のまとめ

現実ではない仮定」に関して、動詞を過去形にすることで「これは仮定の話ですよ」と示すのが仮定法です。

不確定の未来」は「現実ではない仮定」とイコールではないので仮定法は用いられず、単なる条件文が用いられます。
「"if" が使われていれば仮定法」は誤った認識です。